特集:書評

ジャーナリストの書評コーナー

親子断絶を経験したジャーナリストが、自らの体験や取材を通じて出会った良書を紹介するコーナーです。

書籍表紙

📖 書籍情報

タイトル:ママまた離婚するの!? 離婚家庭で育った子どもの気持ち

著者 :新川明日菜

出版社:東京シューレ出版

発行年:2013年

実母に翻弄されっぱなしの複雑な環境下で育った著者。そんな彼女が大人になってから記したのが本書である。実母の三度の離婚と三度の再婚という、当時の苛烈な体験が子どもの視点で語られたり、大人になってから始めた「離婚家庭の子どもたちのためのネットワーク」の立ち上げの経緯が描かれていたりする。

そんな彼女が自らの体験を「原石のダイヤ」と捉えて語るのはなぜか? 
親の都合によって人生を左右され、多くを語らないとされてきた「親が離婚した子どもたち」は何を考えているのだろうか?

西牟田 靖

個人の体験から社会への提言へ

本書は、著者の新川明日菜氏が、親の都合によって人生を翻弄されがちな子どもたちの本音を代弁した異色のエッセイである。親子のコミュニケーション指南書であり、そして社会変革への提言書でもある。子どもの立場から見た親子の軋轢、葛藤、そして和解に至るまでの道のりを、幼少期から成人後に至るまで詳細に追っており、単なる個人の手記としてだけでなく、ひとり親家庭や再婚家庭が抱える普遍的な問題への深い洞察を提供している点で貴重である。以下、詳しく言及する。

親の離婚と再婚のリアリティ 積み重なる不信と心の傷

本書の第一章「リコンの現実と子どもの気持ち」では、著者自身の激しい経験が綴られている。八歳で二度目の離婚に直面した際、母親から「ママが笑わなくなるのと、パパと離れてママが笑うようになるのと、どっちがいい?」という残酷な選択を迫られた瞬間から、母への不信感が芽生え始める。著者は、愛着を持っていた継父(二人目のパパ)との別れが突然訪れ、さらに弟は実の親である継父が引き取りたいと主張したことで、「血のつながりがなければ本当の子のようには愛してもらえない」という冷酷な現実を突きつけられる。

さらに母親が間髪入れずに新しいパートナー(ヒロトお兄さん)を「パパ」として連れてきたことに対し、著者は「嫌だ!!!」と強く抵抗するものの受け入れられず、母親に対する不信感は決定的に膨らんでいく。この二人目の継父との生活では、しつけに厳しい継父による理不尽な怒りや暴力(弟にお箸を投げつける、夜中に弟を床に放り投げるなど)を経験し、家の中は常に緊張状態となる。著者は思春期にストレスのピークを迎え、ついにはリストカットという自傷行為に及んでしまったという。これは、「私がこんなに辛い思いをしていることを親にわかってほしい」というSOSの表現だったと著者は振り返る。

母との喧嘩がエスカレートする中で、著者が投げつけた「あんたなんて親じゃない」という言葉と、母親からの「私だってあんたみたいな子いらない」「産んだの後悔してるわ!」という暴言がぶつかり合う、凄まじい親子関係が描かれている。著者の葛藤の根底には、親への不満をぶつけながらも「本当は心の奥底で好きでいてくれて私を愛してほしくて、それを確認したい思い」があったことが吐露されている。

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