コラム:考察・視点

― 著者紹介 ―

筆者であるコピーライターの中新大地は、両親の離婚を機に、家族との距離や関係性のあり方について考えてきた経験を持つ。書き伝えることを生業としながら、多角的な視点で家族をめぐる問題を言語化している。

中新 大地

離婚や別居の後、子どもと離れて暮らす親が交流を続ける「面会交流」。

法律上も重要なものとして位置づけられていますが、実際には継続が難しくなるケースも少なくありません。取り決めが行われていても交流が途絶えてしまったり、そもそも話し合い自体が成立しなかったりすることもあります。なぜ面会交流は難しくなるのでしょうか。

本記事では、制度上の位置づけを整理しつつ、実際の家庭で起きている課題や心理的背景、制度と現実のギャップについて考えます。

※2026年4月施行の改正民法では、「面会交流」は「親子交流」という表現へ整理されていますが、本記事では、現在も広く使用されている「面会交流」の表記を主に用いています。

面会交流とは何か

面会交流とは、離婚や別居によって子どもと離れて暮らす親が、子どもと面会したり、電話や手紙などで交流したりすることを指します。

一般的には「親が子どもに会う権利」というイメージで語られることがありますが、法律上は、子どもの利益という観点から位置づけられています。つまり、親のためだけではなく、子どもが両親との関係を持つことの意味も重視されています。

現在の日本では、離婚後の親権について、単独親権または共同親権を選択することができます。子どもと同居していない親については、面会交流を通じて関係を維持していくことが想定されています。話し合いで決まらない場合には、家庭裁判所の調停や審判が利用されることもあります。

面会交流はどのくらい行われているのか

面会交流は制度として存在していますが、実際には十分に行われているとは言い切れません。

早稲田大学法学学術院教授・棚村政行氏による調査(*1)では、離婚・別居後の子どもたちを対象に行ったアンケートにおいて、「面会交流について取り決めをしていない」と回答した割合は37.7%となっています。また、「父母のみで取り決めを行った」は20.0%でした。

この数字からは、そもそも正式な取り決めに至っていないケースが少なくないことが分かります。

さらに、取り決めをしたからといって、交流が継続されるとは限りません。離婚直後は一定の交流が行われていても、時間の経過とともに頻度が減少したり、最終的に途絶えてしまったりするケースもあります。

背景には、親同士の関係性や生活環境の変化など、制度だけでは解決しにくい問題があります。

なぜ面会交流は難しくなるのか

親同士の対立

面会交流が難しくなる最大の要因の一つが、親同士の対立です。

離婚や別居に至る段階では、すでに強い感情的対立が存在しているケースも少なくありません。「もう関わりたくない」「話すだけで負担になる」という状態の中で、継続的な調整を行うことは簡単ではありません。

また、一方は「子どもとの関係を維持したい」と考えていても、もう一方は「生活の安定を優先したい」と考えている場合があります。この認識のズレが、面会交流を難しくする要因となります。

「子どものため」の認識の違い

面会交流をめぐっては、双方が「子どものため」を考えているにもかかわらず、結論が異なるケースもあります。

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面会交流(親子交流)はなぜ難しいのか――制度と現実のあいだで起きていること

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