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― 著者紹介 ―
両親の離婚と父親との別れを経験し、人との関係に悩んできた著者・宮本しずか。
本記事では、自身の体験や身近な人たちの声をもとに、子どもが直面する変化と、その中で大切にしたい関わり方を丁寧に伝えます。
宮本 しずか
親の離婚は大人にとっても大きな出来事ですが、実は子どもにとっても心や体にさまざまな影響を与える可能性があります。環境の変化の後に「最近、元気がない気がする」「急にわがままや反抗が増えた」「お腹が痛いと言うことが多くなった」このように、変化に敏感になってみるとちょっとしたSOSを発していることも少なくありません。そして、そのSOSに気がついたとしても、どう対応したらいいのか分からないと悩んでいる保護者の方も多いのではないでしょうか。子どもは自分の気持ちをうまく言葉で表現できないことが多く、寂しさや不安が、行動や身体の症状として現れることもあります。
この記事では、親が離婚した際に子どもに表れやすいストレス反応を3つに分けて、具体的なサインや背景、保護者ができる関わり方について分かりやすく解説します。「うちの子は大丈夫かな?」そんな不安を感じている方のヒントになれば幸いです。
親が離婚した際の子供に表れるストレス反応3選
情緒の不安定
親の離婚を経験した子どもがストレスを感じたとき、最初に現れやすいのが情緒の不安定さです。大人でも大きな環境の変化に直面すると気持ちが揺れ動くように、子どももまた、安心していた日常が変わることで強い不安や寂しさを抱えることがあります。特に子どもは、「なぜこうなったのか」「これからどうなるのか」を十分に理解することが難しいため、気持ちの整理がつかず心の中にさまざまな感情をため込んでしまいがちです。その結果、普段より甘えが強くなったり、急に怒りっぽくなったり、涙もろくなったりといった変化が見られることがあります。

イメージ画像:土手でうつむく女の子
実際に、筆者の友人男性も、両親の離婚後に母親と二人で生活を始めてからしばらくして、夜になると「一緒に寝てほしい」と何度も訴えるようになりました。それまでは一人で寝ることができていたにもかかわらず、電気を消すと不安になり「ママも(パパと同じように)どこかに行っちゃうの?」と何度も確認するようになったそうです。
また、別のケースでは、小学校中学年の女の子が、両親の離婚後に急に「いい子」でいようとする行動が目立つようになりました。家では手伝いを率先して行い、学校でも先生の言うことを完璧に守ろうとする一方で、夜になると布団の中でこっそり泣いていることがありました。後になって本人が打ち明けたのは「自分がもっといい子だったら、パパとママは離婚しなかったかもしれない」という思いだったそうです。
またこんな話も聞かれます。「お金があれば両親が離婚しなかったかも」と考えるようになり、小学生でも新聞配達ができるのか、新聞屋さんに自ら足を運び聞きに行った子もいるようです。
このように、子どもは親の離婚を「自分のせいではないか」と受け止めてしまうことがあります。大人から見れば、子どもが原因で離婚することはほとんどないと分かっていても、子どもにとっては自分の行動や存在が家族の出来事と結びついて感じられることがあるのです。
さらに、寂しさや孤独感が強くなると、感情のコントロールが難しくなり、些細なことで怒ったり、突然泣き出したりすることもあります。学校や保育園では普通に過ごしているように見えても、家に帰ると不安定になるというケースも少なくありません。これは、子どもが外では気を張って頑張り、安心できる場所である家庭で感情があふれ出ているサインとも言えます。保護者としては、「どうしてそんなにわがままなの」「もう大きいのだからしっかりして」と感じてしまうこともあるかもしれませんが、その背景には言葉にできない寂しさや不安、そして”家族がバラバラになった”という現実に対する戸惑いが隠れていることが多いと感じます。
大切なのは、子どもの感情を否定せず「寂しいよね」「不安になるよね」と気持ちを受け止めて寄り添う姿勢です。また「あなたのせいで離婚したわけではないよ」「あなたは大切な存在だよ」と繰り返し伝えることで子どもの中にある感じなくても良い罪悪感を少しずつ和らげていくことができます。
親の離婚は避けられない出来事であっても、その後の関わり方によって子どもの心の安定は大きく変わっていきます。情緒の不安定さは一時的な反応であることも多いため、焦らず、安心できる時間や関係を積み重ねていくことが何より大切です。
行動の変化
親の離婚をきっかけに、子どもの行動が大きく変わることがあります。これまでできていたことが急にできなくなったり、わがままや反抗的な態度が増えたりするなど「どうしてこんな行動をするのだろう」と戸惑う保護者の方も少なくありません。こうした行動の変化は単なる問題行動ではなく不安や寂しさ、怒りといった感情をうまく表現できないことによるサインである場合が多いのです。特に幼い子どもほど自分の気持ちを言葉で説明することが難しいため、行動として現れやすくなります。
例えば、保育園に通う5歳の男の子のケースでは、両親の離婚後、それまで一人でできていた着替えや食事を急に「やって」と甘えるようになりました。夜中に何度も目を覚まして母親を呼ぶことも増え抱っこを求めたり、赤ちゃんのような話し方をする場面も見られるようになりました。これは幼児返りと呼ばれる状態で、子どもが安心感を求めて以前の発達段階に戻ったような行動を取ることがあります。

