ドイツ人の父親と日本人の母の間に生まれた私は今年で50歳。日本に来て25年以上が経ちましたから、とうとう「人生の半分以上を日本で過ごしている」ことになります。ドイツに住んでいた子供時代から今にいたるまで私には「やめられない癖」があります。それは日々の色んな出来事を目にした時、「ドイツではこうだけれど、日本では違う」だとか「日本ではこうだけれど、ドイツでは違う」と日本とドイツのあいだの違いを見つけては、その理由や背景について「あれこれ考える」ことです。

教育制度や女性の生き方などドイツと日本のあいだには様々な違いがありますが、最近気になっているのは「家族」です。実は日本とドイツでは「家族観」がだいぶ違います。今回はその背景に迫りながら「家族」にスポットを当てます。

ヘフェリン・サンドラ

子供のいる男性と結婚した女性の「悩み」にビックリ

いきなりですが、私は読売新聞の電子掲示板「発言小町」を読むのが好きです。無料のこの掲示板では匿名で悩み事を相談することができ、同じく匿名で答えることができます。「ネットで匿名」というと荒れそうなものですが、トピックもコメントも事前に新聞社の人がチェックした上で載るので、暴言や誹謗中傷とは無縁です。「キャリア」「育児」「友人関係」など様々なジャンルのトピックが上がる中で、私が最近よく読むのは「夫婦関係」や「家族」に関する相談事です。ここで「子供のいるバツイチの男性と結婚しました。子供は夫の元妻が引き取っていますが、夫が定期的に子供に会っているのが嫌でたまりません」という内容の相談を見るたびに、私はビックリ。そして色々と考えてしまいます。

なぜビックリするのかというと、私が育ったドイツでは「親が結婚していても、離婚していても、両方の親に会うことが子供の権利」だというのが社会の共通認識だからです。ドイツでは「配偶者に前のパートナーとの間にできた子供に会ってほしくない」というようなことを言うのは社会的にタブーです。

ドイツでは結婚している夫婦の約3分の1が離婚します。決して少ない数ではありません。でもドイツで離婚は「子供と会わなくなること」「子供と会えなくなること」を意味しません。相手を好きになるのも嫌いになるのも、それは「大人同士の都合」。子供には関係ないのですから、大人には「子供に会って、親として子供にかかわり続ける」義務があるとドイツでは考えられています。

ニッポンの政治家や著名人による「離婚してから子供に会っていない」発言

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