サブスクリプション
「もう、死んでしまいたい…」
絶望の淵に立たされた男性は、自らの命を絶とうとしました。愛する娘との突然の別れ、そして理不尽な状況。しかし、同じ痛みを知る人々との出会いが、彼を再び立ち上がらせたのです。
アイタイムズ編集部
妻との間に何が? 単身赴任の夫、自宅に入れず
2023年の秋、単身赴任をしていた吉田さん(仮名・40代男性)が福岡の自宅に戻ると、異常な事態が待ち受けていました。

妻が内側から鍵をかけ、吉田さんが家に入ることを拒否したのです。玄関のドアをノックすると、彼女は警察を呼びます。駆け付けた警察官は「何もできない」と言い、むしろ彼女の言い分を優先するような対応だったといいます。「二人とも冷静になってから話し合ってください」と助言し、立ち去りました。
その後、連絡を取ろうと何度も電話をかけましたが、ついに繋がることはありませんでした。さらに10日ほど経った頃、吉田さんは家の鍵が交換されていることに気づきます。その後、自宅に戻ることは叶わないままです。
妻の「言い分」と夫の「決断」

「確かにそれまで夫婦喧嘩はあったし、離婚の話もありました。しかし、あんなことができるなんて信じられません」と吉田さんは振り返ります。
専業主婦の妻は、夫名義の銀行口座から生活費をまかなっていました。吉田さんが給与の約9割をその口座に振り込み、妻がやりくりしていたのです。しかし家を追い出された後、弁護士に相談し、「給与の大半を妻に渡す義務はない」と判断。その口座を一時的に凍結しました。
当然、妻は激怒しました。対して、吉田さんは当然の措置だと考えました。「民法には夫婦の同居義務、協力義務が明記されています。それを無視して追い出したのは妻のほうだ」と。

直接連絡が取れないため、吉田さんは弁護士を通じて「なぜこんなひどいことをするのか」と尋ねました。しかし返ってきたのは、「あなたが私の時間を奪っている」「私の人生をめちゃくちゃにしたのはあなた」といった、予想を超える自己中心的な言葉ばかり。「もうやってられない」と思った彼は、離婚調停を申し立てました。
その間、娘との交流は一切できず、家庭裁判所が標準とする月1回の面会すら叶いません。それでも妻は「離婚はしたくない」と言い張ります。離婚せずに別居した場合、「養育費」よりも高額な「婚姻費用」を支払わなければならないとされています。吉田さんは「こんなひどい仕打ちをしておいて、金だけは渡せということなのか」と、さらに強い不信感を抱きます。
自殺未遂を経て

2024年初め頃、吉田さんは極限まで追い詰められていました。「身代金目的の誘拐に国が加担している。救いはどこにもない」そんな思いにとらわれていたのです。理不尽さに耐え続け、出口の見えない争いの中、「自分よりも大切な娘の成長を見守れないなら、生きる意味がない。もう終わらせよう」と絶望。心療内科で処方されていた抗うつ薬を約1か月分まとめて服用し、自殺を図りました。