ジャーナリストの書評コーナー

ジャーナリストが選んだ良書を紹介するコーナー。
当事者としての体験や現場取材の中で見えてきた課題を重視する、アイタイムズならではの視点でお届けします。

西牟田 靖

「子どもに会いたい親のためのハンドブック」(2013)/ 青木聡・蓮見岳夫・宗像充+共同親権運動ネットワーク

「子育ては別れたあとも 改訂版・子どもに会いたい親のためのハンドブック」(2018)/ 宗像充+共同親権運動ネットワーク

子どもをパートナーに連れ去られると、子煩悩な人ほどダメージを負う。そんな傾向が強い。その際、頼りになるのは友人や家族など自分の身の回りの支えが一番だ。しかし、関連書を読み、問題の全体像を把握することも大事だ。

心理学者や当事者が子どもの連れ去り被害にあった人たちのために書いたハンドブックを読むと、落ち込んだり怒ったりと言った激しい感情が和らぎ、ある程度の冷静さを取り戻せる可能性がある。そして今後どうして行ったらいいのかという対策作りにも役に立つ。

というわけで、今後、連載形式でさまざまな書籍を紹介していく予定だ。第一回は以下の本を紹介したい。

表紙:子どもに会いたい親のためのハンドブック

「子どもに会いたい親のためのハンドブック」(2013)/ 青木聡・蓮見岳夫・宗像充+共同親権運動ネットワーク
「子育ては別れたあとも 改訂版・子どもに会いたい親のためのハンドブック」(2018)/ 宗像充+共同親権運動ネットワーク
どちらも社会評論社刊

この本(2013年度版)を手に取ったのは発売翌年である2014年5月。どん底の状態のとき、藁にもすがるつもりで買い求めた。その1ヶ月半前、妻が娘と共に私を残して引っ越してしまった。生活の激変にメンタルが落ち込み体重が5kg減っていた。しかし、この本を手に入れることで、生きる指針が見えた。僕をその後、生きさせた命の恩人のような本だったのだ。

この本を中心になって書いた宗像氏自身、十分に会えていない。そのことから実際に子どもに会える方法が書いてあるわけではない。しかしこの本には十二分なほどに、置かれた状況にフィットした TO DO が記されている。それは宗像氏の体験に根ざしたものだけに説得力がある。

表紙:子育ては別れたあとも 改訂版 子どもに会いたい親のためのハンドブック

特に、当事者に寄り添っているのは、1章と4章だ。

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