西牟田 靖

アイタイムズをご覧になっている皆様、はじめまして。フリーライターの西牟田と申します。このたび本サイトにはじめて投稿させていただきます。これからは毎月、こちらのサイトに投稿するつもりですので、どうかよろしくお願いいたします。

親権問題との関わり

さて、第一回目の今回、私と共同親権とのかかわりについて書いてみようと思います。私、西牟田靖は1995年以来、ライターとして活動してきました。海外を飛び回ってガイドブックを作ったり、サブカル雑誌に街ネタを寄稿したり……。駆け出しの頃はそうした軽さとフットワークだけが売りの軽薄なライターでした。

ところが扱う内容が次第にヘビーなものへと変化していきます。命がけでアフガニスタンを取材したり、未解決事件を追いかけたり、太平洋戦争の戦跡を訪ねたり、北方領土や尖閣諸島を訪ねたり……。扱う素材に伴い、重厚で深刻なテーマを扱うライターになっていきました。

イメージ画像:記者

そんな私が、この10年間、メインテーマとして取り組んでいるのが共同親権やそれに関連する問題です。詳しくは、子どもの連れ去り、虚偽DV、親子交流、養育費(婚姻費用)などです。

これまでの10年間、共同親権について書くために、私はさまざまな方々にお会いしてきました。以下、カテゴリー別に記します。

・子と離れて暮らすいわゆる別居親を中心に、子どもと暮らす同居親、片方の親に会えなくなった子どもや元子どもたちといった当事者の皆様。
・代理人である弁護士、問題について研究し続ける学者、法律を作る立場にある政治家といった、直接・間接的に問題解決を目指す人たち。
・面会交流団体、家裁調査官、児童養護施設職員という当事者を補助する公的な職業を生業としている人たち。

彼らの協力なくしては、私の仕事は成し遂げられませんでした。深く感謝いたします。

問題を知り、使命感を持つ

最初の約20年間、興味を抱いていなかった共同親権なのに、なぜ10年前、突如取り組み始めたのかというと、私自身が当事者になってしまったからです。

2014年3月末、当時の妻が3歳の娘を連れて、引っ越してしまいました。娘を救うためなら自分の命を差し出してもいいと思えるぐらい、かわいい存在だった娘が、生活の場から、突然いなくなるという経験は、片腕をもがれるような辛い体験でした。

イメージ画像:連れ去り

その辛さを紛らわせるために、会えなくなった私がすぐにやったこと。それは辛さの正体についてネットで調べたり、関連書を買って読んだり、そして同じ様な体験をした人と話し合うことでした。仕事柄、わからないことがあれば、すぐに調べる癖がついていたため、そうした行動に出たのだと思います。

たくさんの当事者に会って思ったこと、それは、悩んでいるのは自分だけでないということです。当事者たちとの出会いは私に大きな癒しをもたらしたのです。また、問題意識を持つようにもなりました。日本社会の法整備や裁判所の運用に問題があること、偏見や常識によって、子に会えなくなるという現象の辛さが隠された存在になっているということを知ったのです。

別れたら子どもに簡単に会えなくなってしまうということが当たり前――という事実。それはもっと世の中に知られるべきだし、この国の常識をもっと変えていくべきです。ペンの力を使って、この国の人々に知らしめたい。別れても頻繁に会い、共に育てることが当たり前の世の中にするべく、そのお手伝いをしたい――そう思うようになっていったのです。

以前のようになぜたくさん書かないのか

その後、私は、子どもに会えなくなるなんてひどい――と問題提議する記事を書き続けました。取材を続ける中で、被害に遭われた方々の経験の共通点に気がつくようになり、問題点が何なのかが、より明確に見えるようになっていきました。それは次の通りです。

この続きを見るには
続き: 2,334 文字 / 2 画像

サブスクリプション

後半(その2)は-こちらの記事-でご覧いただけます。