当事者の声(国内)

アイタイムズ編集部

おとうさんと同じにおいする

埼玉県に住む富永さん(仮名・60代)は、月に2度以上孫たちと会っていた。
孫たちが自宅に来たときは隣の公園で遊び、一緒に料理をし、ともに食卓を囲んだ。
車で街へ出かけることもあった。
孫たちは、どちらかといえばおじいちゃん子で、祖母よりも祖父である富永さんのそばにいることが多かった。

孫との記憶は奪えない。アイタイムズジャパン。
イメージ画像:祖父と孫の触れ合い

ある日、8歳になった長男が富永さんの頭に両手を伸ばした。
確かめるように触れ、自分の鼻に手を当てて一言。
「おとうさんと同じにおいする」
富永さんは思わず笑った。
「そりゃそうだよ、親子なんだから」
息子と、その息子。
ふたつの姿が重なって見える。
「血のつながりって、こういうものなのかな」
そう思いながら、彼はそっと長男の頭を撫でた。

ひとりで泊まれる

まだ次男が2歳半だったころのこと。
富永さんは子守りで孫たちの家に来ていた。
共働きの息子夫婦に頼まれ、夕方まで面倒をみていた。
帰り支度をはじめたとき、次男がにこにこしながらこう言った。
「じいじのうち、行く!」
「お母さんは行かないよ。ひとりで泊まれるの?」
試すように聞くと、迷いのない言葉が返ってきた。
「行く!いい??」
大人同士で相談し「だめだったら連れて戻る」という約束で、その日は祖父母の家に泊まることになった。
夜、祖母に甘えながらふと母親を思い出したような瞬間があった。
それでも、帰宅するまで満足げに過ごした。
それ以来、次男は何度も泊まりに来るようになった。

富永さんの家では、庭で料理をすることもよくあった。
生地から一緒に作るピザ。
火を囲んで一緒にバーベキュー。
小さな手でトッピングをのせる次男の姿を、彼はいまも忘れられない。

息子夫婦の異変

事件が起きる数カ月前から、息子の妻は「心身の不調」を訴えていた。
その原因は夫にあるのだとし、「あなたが原因だ」と夫の責任を繰り返し口にするようになった。
息子は「自分にも至らない点があるかもしれない」と受け止め反省した。
だが、妻の態度が変わることはなかった。
次第に「帰ってくるな」と言いはじめた。
従うと今度は「週末も帰ってくるな。予定がある」と言われるようになった。
帰宅を拒まれた日は、息子は富永さん宅に身を寄せて過ごした。
2023年末頃からは、その頻度がさらに増えていった。

そんな中、共有していたパソコンから、妻が別の男性と関係を持っていたことが明らかになった。
息子は、それまでの言葉を別の角度から考えざるを得なくなった。
「心身の不調」とは、何を意味していたのか。

迎えられなかった卒園式

この続きを見るには
続き: 1,464 文字 / 2 画像

サブスクリプション