コラム:考察・視点

― 著者紹介 ―

筆者であるコピーライターの中新大地は、両親の離婚を機に、家族との距離や関係性のあり方について考えてきた経験を持つ。書き伝えることを生業としながら、多角的な視点で家族をめぐる問題を言語化している。

中新 大地

養育費は、離婚後や別居後の子育てを支える重要な仕組みです。

しかし現実には、「支払われていない」「取り決めが続かない」といった問題も少なくありません。一方で、養育費は単なる金銭のやり取りではなく、親同士の関係や、子どもとのつながりにも影響を与える側面があります。

本記事では、制度上の位置づけを整理しながら、養育費と親子関係のあいだにある現実について考えます。

養育費とは何か

養育費とは、子どもを監護・養育するために必要な費用のことを指します。衣食住にかかる生活費だけでなく、教育費や医療費など、子どもの成長に必要な支出も含まれます。

重要なのは、養育費は「元配偶者のためのお金」ではなく、「子どものためのお金」として位置づけられている点です。離婚をしても、父母双方に子どもを養育する責任があるという考え方が前提となっています。

法務省も、離婚後であっても父母が適切な形で子どもの養育に関わり、その責任を果たすことは「子どもの利益の確保」のために重要であると説明しています(*1)。

そのため、養育費は単なる金銭的義務ではなく、「離婚後も子どもの生活に関与し続ける」という意味合いを持つ制度でもあります。

養育費は「元配偶者のためのお金」ではなく「子どものためのお金」という重要な位置づけがある。

イメージ画像:養育費

養育費は実際どのくらい支払われているのか

養育費は制度上存在しているものの、現実には十分に機能しているとは言い切れません。この養育費の未払いは、テレビのニュースやSNSなどでもよく話題にあがる問題です。

厚生労働省「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」によれば、母子世帯のうち養育費の取り決めをしている割合は46.7%となっています(*2)。つまり、半数以上は正式な取り決めに至っていない状況です。

※父子世帯では28.3 %

さらに、取り決めをしていても継続的な受給につながるとは限りません。同調査では、「現在も養育費を受給している」母子世帯は28.1%にとどまっています(*2)。

この数字からは、制度としての養育費と、実際の受給状況とのあいだにギャップがあることが分かります。

なぜ養育費の支払いは続かなくなるのか

親同士の感情的対立

養育費が継続しなくなる背景には、親同士の感情的な対立があります。

離婚時には、すでに信頼関係が崩れているケースも少なくありません。そのため、「もう関わりたくない」「連絡自体が負担」という状態になっている場合があります。事実、「相手と関わりたくない」を理由に34.5 %もの母子世帯が、前述の取り決めをしていないようです(*2)。

※「相手に支払う意思がないと思った」は 15.3 %

本来、養育費は子どものための制度ですが、現実には元配偶者との関係を通じてやり取りされるため、感情的な問題と切り離しにくい側面があります。

経済状況の変化

収入減少や転職、失業などによって、支払いが難しくなるケースもあります。

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