コラム:考察・視点


青山 克彦

親子は、本来最も近い関係です。

同じ家で暮らし、同じ時間を過ごし、食卓を囲み、成長を見守ってきた関係です。だからこそ、多くの人は「家族なのだから、言わなくてもわかるはず」「親子なのだから、いつかは通じ合えるはず」と考えます。

しかし、実際には家族だからこそ、わかり合えなくなることがあります。他人であれば距離を取り、言葉を選び、相手の事情を想像しようとします。他人にはできることが、家族にはできなくなる。これは多くの家庭で起きていることです。

「このくらいわかるはず」「親なのだから当然」「子どもなのだから従うべき」という思い込みが、少しずつ会話を奪っていきます。

親子のすれちがいは、ある日突然起きるものではありません。表面上は普通に暮らしていても、心の中では少しずつ距離が広がっている家庭は意外に多いんです。仲が悪いわけでも、大きな事件があったわけでもないのに、気づけば話さなくなっている。そうした静かなすれちがいこそ、もっとも修復が難しいものです。

では、親子の会話が消えていく家庭には、どのような共通点があるのでしょうか。この記事では、親子関係が壊れていく家庭に見られる共通点を通して、「家族なのにわかり合えない」状態がなぜ生まれるのかを考えていきます。

「わかっているつもり」が、言葉を省かせる

子どもの本音を聞く前に、親の解釈で決めてしまう

親は、子どものことを一番近くで見てきた存在です。幼少期からずっとそばで見てきました。だからこそ、「この子はこう考えているはず」と思い込んでしまうことがあります。果たして、親のその答えは本当に正解でしょうか。

本人が話し始める前に「どうせ、こういうことでしょ」と先回りして結論を出してしまえば、子どもは話す気力を失っていきます。本音を語ろうとした瞬間に、親にそのようなことをされる経験が積み重なると、「言ってもむだだ」というあきらめが生まれます。

「言わなくてもわかる」は、すれちがいの始まりになる

家族の間では、言葉を省いても通じ合えるという感覚が共有されがちです。

しかし、「本当は通じていないのに、通じているつもりになっているだけ」というケースになっているのかもわかりません。感謝も、謝罪も、心配も、口にしなければ伝わらないものです。「言わなくてもわかるはず」という決めつけは、コミュニケーションを止める言い訳になってしまいます。

この部分は、実は勉強と同じなんです。「わかる」と「できる」は全く別物です。授業中に「みんなわかったな」と確認をして説明を終えます。子どもたちは、だまってうなずいています。それから、問題をさせると、びっくりするほどできていない子が多いのです。

厳しい言い方になりますが、「何も言わない」つまり「黙る」ということは、親を「黙らせる子どもの最高の手段」です。「わかった」と言っておけば、周囲の大人は何も言えませんから。

だから、「家族なので言わなくてもわかり合える」という考えは、持たない方がよいと思います。大切なのは、親がどれだけ子どもの本質を見抜いているかということです。

子どもが意見を言うと「反抗」と受け取られる

違う考えを持つことが、親への否定とみなされる

子どもが自分の意見を口にしたとき、「親に逆らった」と受け取る家庭があります。

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家族なのにわかり合えない。親子の会話が消えていく家庭の共通点

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