ジャーナリストの書評コーナー

わが子と突然会えなくなる「親子断絶」を経験したジャーナリストが、父親としての視点を交えながら、取材を通じて出会ったおすすめの一冊を紹介します。

西牟田 靖

書籍表紙

📖 書籍情報

タイトル:別れてもふたりで子育て (知っておきたい共同養育のコツ)

著者 :しばはし聡子

出版社:笑がお書房

発行年:2020年

帰宅すると突然、家の中がもぬけの殻になり、愛する子どもが消え去っていた。警察や弁護士にも頼れず、強固な壁に阻まれ、「もう二度と会えないのではないか」と絶望の底にいる親御さんたちへ。その張り裂けそうな苦しみは、決してあなた一人だけのものではありません。

「会わせない妻」の心を開くカギはどこにあるのか?

そんな理不尽な暗闇の中でもがいているあなたにこそ、手に取っていただきたい一冊があります。しばはし聡子氏による『別れてもふたりで子育て 知っておきたい共同養育のコツ』です。この本は、単なる同情や精神論を並べた慰めの書ではありません。絶望の淵から這い上がり、再び子どもとの絆を取り戻すための、極めて実践的で、時には耳が痛くなるほどリアルな「戦略書」であり、「希望の書」です。なぜ相手が面会を拒むのかという心理構造を解き明かし、法廷闘争という「北風」の戦術ではなく、相手の心を紐解く「太陽」のアプローチによって、事態を好転させる具体的なノウハウが詰め込まれているのです。子を連れ去られ、先の見えない暗闇の中で途方に暮れる親にとって、これほど心強く頼りになる道標はないと言えます。

著者の実体験がもたらす圧倒的な説得力

本書の最大の魅力であり、圧倒的な説得力の源泉となっているのは、著者であるしばはし聡子氏自身のバックグラウンドにあります。彼女は現在、面会交流支援を行う「一般社団法人りむすび」の代表を務めていますが、最初から模範的な「共同養育者」だったわけではありません。彼女自身、息子が小学4年生の時に離婚を経験したシングルマザーであり、離婚当初は「相手を憎んだまま」であり、「離婚して夫と縁を切りたい」と強く願っていたといいます。当然、面会交流を通して離婚後も関わっていくことなど想定しておらず、夫から届く面会を求めるメールを無視したり、自宅に息子を迎えに来る夫に露骨に嫌な顔を見せたりしていました。

しかし、そのような日々を過ごすうちに、息子の様子に異変が現れ始めました。夜中ベッドでシクシクと泣き出したり、母親である著者の顔色をうかがって無理に笑顔を取り繕うようになったのです。会いたいという夫の意思よりも、自発的に言わない子どもの意思を優先しているのだと自分に言い聞かせていた著者でしたが、それは間違っていたことに気づきました。

この続きを見るには
続き: 2,357 文字 / 1 画像

サブスクリプション

この記事のみ購入

500 JPY

書評#15 別れてもふたりで子育て

記事単体での購入が可能です。

500 JPY